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「我々に広告費という概念は、ない」。D2Cの伸長を担う、型破りなマーケター集団

D2C領域におけるデジタルマーケティングを手掛け、これまで数々の商品の魅力を最大化し、売上の拡大を図ってきた。とにかく一貫して“成果だけ”を追い求め、確かな成果をクライアントに提供してきた。

ちなみにクライアントが持つ初期費用は、まさかの“ゼロ”である。

グロースに携わったサービス、プロダクト、クライアントとともに自らも成長する。こうして多くのクライアントから高い評価を得てきた。

少々前置きが長くなってしまったが、今回紹介するのはブリーチという会社だ。従来のインターネット広告代理事業を覆す驚きのビジネスモデルで2016年の事業スタートから翌年には前年比300%、その後も毎年150%......と劇的な成長を続けている。

今後7年で売上1000億に到達することを目標に掲げるブリーチ。代表 大平啓介の言葉から、独自のビジネスモデルとそこに込められた信念を紐解きたい。

苦い経験から生まれた、型破りのビジネスモデル

「お客さんに嘘をつくのが嫌なんですよ。ちゃんと成果を出して評価をしてもらいたい。気持ちよく仕事がしたい。ただそれだけです。売上に対して報酬をもらう方が、結果に責任を持つことができますし、成果が出なければ報酬ゼロ。全力で成果を出すしかないでしょう?」

同社が掲げるビジネスモデルは、「シェアリング型統合マーケティング」。

広告にかかる初期費用を“ブリーチが”先払いし、クライアントのマーケティング活動を一手に引き受ける。様々な施策で売上を拡大した後、成果に応じてレベニューシェアで報酬をもらうという仕組みだ。

ありそうでなかった、そして大胆なこのビジネスモデルが生まれた背景を大平の過去から辿ろう。

学生時代に起業し、美容院などのWeb制作を手掛けていた大平。「どうすればWebサイトに、店舗に集客できるのか」、「ユーザーに振り向いてもらうためにはどのような言葉を使うのか」、多くのことを実践から学んだ。

次第にクライアントから商品のマーケティングを任されるようになったのだが、その際、従来の広告ビジネスに“違和感”を感じはじめる。そして従来通りのやり方で顧客の予算を預かった結果、成果を出せず、いわゆる失敗を経験したのだ。

「期待して任せてくれたのに思うように売上が伸びず、悔しい思いをしたこともありました。商品が質の高いものであれば、なおさら悔しい。そこで考えたのが、初期費用ゼロのビジネスモデルです。

机上で決定するクライアントの予算。成果が出なかった場合には、その言い訳を考え、レポーティングを無事こなし報酬を受け取る......クライアントだけが傷を負う、そんな仕事はしたくなかった。

報酬を苦い気持ちで受け取るよりも、成果を出して共に喜びながら気持ちよく受け取った方が当然、幸せですよね?成果が出なかった言い訳を考える“スキル”を磨くより、成果を出すためのマーケティングを磨くべき、そう思ったのです」

クライアントと「対等」になりたいなら、リスクを抱えよ

同社が展開するビジネスモデルは、確かにクライアントには納得感がある。

しかし、初期費用を自社で負担するのは、あまりにリスキーではないか。この問いに対して、大平は「自社がリスクを負うこと」にこそ、意味があると答えた。

「我々がリスクをとることで、クライアントとパートナーになることができます。お金を払う、貰う関係ではいつまで立ってもクライアントのビジネスに踏み込めず、相手の意向の中でしかマーケティングを行うことができませんから」

商品の価値を最大化するための提言をしたり、商品を育てたりするためには、対等な関係であることが必要不可欠。

同じ船に乗ることで、見えてくること、そして言えることもたくさんある。それをブリーチは実践しているのだ、あえて痛みを受けながらも。

そして、予算先行の従来型ビジネスモデルではクライアントの意向は絶対。これでは成果を出すことは難しいと大平は続ける。

「クライアントの決定を待ってからでないと動けないようでは、思うような挑戦ができず、成果も出せません。対等の関係性であれば、ポイントごとに許可を取りつつも、その都度、判子をもらいに行くようなことはしなくてもいい。より大胆な施策を、より速く実行に移すことができるわけです」

一つ例を紹介したい。化粧品であれば、様々な分析のもと「有識者のエビデンスをつける」、「芸能人をアサインする」などの企画を、費用を一部請け負う形で提案、そこから成果に結びつけてきた。また、商品改良や新商品の開発を企画して、実現した例もあるという。

「パートナーとして信頼関係を築くことができれば、言葉巧みにクライアントを説得するスキルは必要ありません。ただまっすぐに、結果を出すためのマーケティングスキル向上に力を注ぐことができる。それこそが私の理想です」

実は同社には「専任の営業職」が存在しない。これは「営業力」ではなく「デジタルマーケティング能力」の向上を重視する同社の意思表示ともいえる。

「パートナーとして、ともに良い商品を届けましょう。そして、一緒に成長していきましょう」

大平の信念が、ブリーチのビジネスモデルには込められていた。

従業員32名、皆に宿るプロフェッショナリズム

商品の売上を伸ばすためにやるべきことは膨大、変数は多い。

商品パッケージの改良、LP制作、広告運用、セールスライティング......これはあくまで一例であり川上から川下まで、手をかけるポイントは実に幅広い。そこから最も重要な点を見つけてPDCAサイクルを回し、成功の糸口をつかまなければならない。

そんな型を破り続けるブリーチの組織構成を見てみよう。

従業員数は32名(2020年11月現在)。所属するのは、グロースハッカー、セールスライター、コンサルタントなど。彼らは連携してPDCAサイクルをスピーディーに展開し、成果をとことん追求する。そしてトップである大平は自身の持つマーケティングスキルをデータ化して社内教育に使用し、常に社員全体のスキルアップを図っている。

大平は言う、「組織が我々のプロダクトだ」と。

「D2C業界はトレンドの移り変わりが激しく、日々刻刻と変化しています。だからこそ、より大胆なチャレンジとスピーディーなPDCAサイクルを実行できる組織と組織文化が必要なんです。

ブリーチは、他を寄せつけない圧倒的なスピードでPDCAサイクルを回し、重要ポイントを明確化して売上拡大の施策を打ち出します。これが実現できるのは自社完結型で、社内にデジタルマーケティングに必要なスタッフがすべて揃っているから。

メンバーは、ひとり一人がマーケティングのプロフェッショナルであるべく努力をしています。個々のスキルアップがクライアントの成果に直結します」

外注任せにせず、自社内でプロフェッショナルを育て、マーケティングの精度をあげていく。成果を出すためのPDCAサイクルは、その徹底した実力主義のうえに成り立っていた。

目指すのは、「確かなもの」があふれる社会

不確かなものにお金を払わせたくない。
不確かなつながりで仕事をしたくない。
不確かな価値のものを世の中に広めたくない。

大平は確固たる信念を持ち、ここまで歩んできた。

「モノづくりが得意な日本の特徴かもしれませんが質の良いものは作るが、往々にしてマーケティングが弱い。そこを我々が客観性を持ってプロフェッショナルとして補い、質の良いものであふれる世の中を作っていきたい」

そう語る大平の目標は、これからの7年で売上1000億に到達すること、そして、多くの人に喜んでもらえるビジネスを展開し、国内外の経済を大きく回していくことだ。

良いもので世界を照らし、経済を活性化し、より輝く社会を作りたい。「ブリーチ」という社名にこめた思いを、同社はこれからも追求し続けていく。

大量消費の時代を経て、モノの本質やストーリーが重視されるようになった現代社会。広告ビジネスも大きな転換期を迎えつつある。これからの未来、社会に求められるのは、従来の広告業界のビジネスモデル、ブリーチのビジネスモデルどちらだろうか。

「大胆なチャレンジで、確実な成果を出したい」

そう望みつつも、様々な要因で思うように舵を切ることのできない企業は多い。彼らにとってブリーチは、大きな飛躍の種となるのかもしれない。



2020年12月10日 Forbes CAREERに掲載

制作:Forbes CAREER 編集部

文・笠井美春 写真・小田駿一

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